【出逢い編07】PUFFYとキムタク
帰りはいつも、各駅停車に乗ってゆっくりと帰るのがいつものパターンで、その日も帰宅ラッシュの時間を避け、のんびりと電車に揺られていた。
降りる駅まであと4駅というところで、携帯が鳴った。
その瞬間、直感的に今日、電話番号を渡したあのコーヒー売りの子だと感じた。
ちょうど駅に停車したので、降りてホームの椅子に座りながら電話に出た。
「もしもし」
「あっ、誰かわかる?」
「わかるよ。電話くれたんや」
「ほんまは電話する気無かったんやけど、友達にゆったら、面白そうやから電話してみいよ、って。変な人やったらすぐ切ったらええんちゃん、って。」
「そうなんや」
冷静を装いながら、変な人と思われないように慎重に言葉を選びながら話を続けた。
お互いの名前の話になり、当てあいっこになった。
先に相手の名前を当てることに。
「ヒント!いま流行ってる芸能人」
「ひかる?」
「ブー!」
「ユキ?」
「ブッブー!」
「ヒント!2人組!」
「はいわかった!PUFFYや!」
「ピンポーン!」
「どっちやろ、ユミ?」
「ピンポンピンポーン!」
「ほんじゃ、次俺の名前な。ヒントは有名芸能人」
「えー!全然わからん。もうちょっとヒント!」
「女の人からの人気がすごい」
「マサハル?」
「違う!違うけどおしい!」
「えっ!まさかのタクヤ?」
「ピンポーン!」
「絶対うそや~!」
確かにいきなり電話番号を渡してきて、電話してみると名前が"タクヤ"って嘘臭いことこの上ない。
でも、流行ってる芸能人でPUFFYって(笑)
この頃はPUFFYもキムタクも人気絶頂で、時代を感じる会話であった。