どうしようもないクズ男の半生記

今年で40歳になり、人生を折り返そうとしているクズ男の半生記です。

【出逢い編18】キュンな関係

僕が有美に電話番号を渡した日からもう1ヶ月が経とうとしていた。

 

食事も一緒に行き、カラオケも行って、何よりも会話の量が半端ではなかった。

僕はあまり喋るほうでは無いのだが、頑張っていたんだと思う。今思えば。

 

この日は、夕方からちょっと遠くまでドライブに出掛ける事に。

 

車内では、いつも通り他愛もない会話が繰り広げられている。

 

付き合っている訳ではないので、家の場所を教えてくれなくても不思議ではない。

不思議ではないけれど、なんとなくモヤモヤした気持ちに耐えられず、勇気を出して聞いてみた。

 

「なあ、俺らって今、どういう関係なんかな?」

 

ストレートどまんなか直球勝負である。

 

「ん~、友達って感じでもないしな~。」

 

有美はそう言うと、しばらく考えて更に答えた。

 

「キュンな関係やな!」

 

「えっ?ひょっとしてこのキュン?」

 

そう言って僕は車のドリンクホルダーに置いてあるペットボトルを指差した。

 

当時、『キュン』という名前の飲み物があり、ちょっと甘酸っぱい味で、僕はそれにハマり、『キュン』ばっかり飲んでいた。

 

「そう、そのキュン。」

 

なるほど、甘酸っぱい関係か...

と僕は勝手なポジティブ解釈をしていた。

 

「だって、2人ともキュンばっか飲んでるやん。」

 

僕のポジティブ解釈は3秒で終わりを告げたのであった。

 

しかし、『キュンな関係』という響きは悪くない。青春ドラマに出てきそうだ。

 

まんざらでもない答えに、ちょっと満足しながら車は隣の県に入った。