2018-09-01から1ヶ月間の記事一覧
7分泣きのショウジを見ながら、2人とも目が点になってしまう。 すると、泣きながらショウジが 「やっぱ友達って最高やでな~。いや~、ヒロシかっこええわ~。付き合ってよ。」 「きしょいんやって!お前!」 ショウジは昔から、ちょっと気の弱い所はあるが、感…
目が点になっているショウジの横で僕は、ヒロシの発言に大きくうなずいていた。 「そらそやろ!ショウジ!人の彼女にちょっかい出す奴は、月に代わってお仕置きせな!」 「さすがタク。分かってるやん!」 もう僕もヒロシも完全に戦闘モードに入ってしまった。 「…
ショウジが続きを話し出すのを、僕とヒロシは必死に笑いをこらえながら聞いた。 「で、何で別れたいんか聞いたんやんか。そしたら他に好きな子できた。って。」 フラれる理由の中でもトップクラスにダメージの大きいフラれ方だ。 ショウジが続けて話し始めた。…
コンッ! コンッ! 「誰や?タツヤもマコも今日バイトやのに。」 そう言いながらヒロシは窓を開け、外を覗きこんだ。 ヒロシの部屋は2階の奥にあり、わざわざインターホンを押すのも家族に迷惑が掛かるということで、家の下に来たら舌打ちを鳴らす、というのが…
1993年12月24日 クリスマス・イブ バイトが休みだった僕は、ヒロシの家にいた。 ヒロシの部屋のステレオからは、ポール・マッカートニーのワンダフル・クリスマスタイムが流れている。 高校生になって初めてのクリスマス。 女っ気は全くない。 僕はタバコをふか…
【青春爆走編】を始める前に、簡単に登場人物の紹介だけしておきます。 タク 僕です。 ヒロシ カッコよく女子からも人気がある 中心的存在。 タツヤ 普段は無口で口下手。だが身体は 大きく、力は強い。 ショウジ グループ内一番のお調子者。涙も ろい所もあ…
1999年に当時付き合っていた彼女にフラれ、その後、有美と出逢い、付き合う事になるまでを描いた【出逢い編】でした。 今思えば、考えていたことが若いですね。 まあ、若干二十歳そこそこのクソガキなんで仕方ないですね。 僕が21歳、有美が19歳、二人ともま…
あまりの気まずさ。 あまりの沈黙。 それに耐えられなくなったのか、先に口を開いたのは有美だった。 「なんでそんな挙動不審なん?」 「そ、そう?全然そんなんちゃうし。」 「いやいや、怪しすぎるって。」 「全然怪しないし。」 若干、すね気味にまたタバコに火を…
「あのさ...」 覚悟を決めて言葉を発してみた。 「何?」 「有美の目に俺はどう映ってるん?」 彼女はちょっと驚いたような表情をしていたが、すぐに元の様子に戻り、考えこんでいた。 そこから、また沈黙が始まる。 体感的に1時間くらいに感じられる沈黙の空気は…
アヒルのおまるで盛り上がっているうちに、もう時間は11時を過ぎていた。 ここでふと、さっきの『キュンな関係』のことを思い出す。 そもそも『キュンな関係』って何だ? 俺の事、嫌いでは無いけど、別にそこまで好きでも無いって事か? だから、いまだに家…
隣の県まで車を走らせて、更に海に向かって走る。 家を出た時はまだ夕方だったが、もうすっかり真っ暗になっていた。 そして車は海に着いた。 海といっても浜辺ではなく、波止場だ。 船着き場があり、背面には倉庫が建ち並び、マフィアが秘密の取引をしてい…
僕が有美に電話番号を渡した日からもう1ヶ月が経とうとしていた。 食事も一緒に行き、カラオケも行って、何よりも会話の量が半端ではなかった。 僕はあまり喋るほうでは無いのだが、頑張っていたんだと思う。今思えば。 この日は、夕方からちょっと遠くまで…
彼女はその時、僕が聴いてきた女性の中でいちばん歌うのが上手かった。 誤解の無いように言っておくが、沢山の女性とカラオケに行った事がある。という訳ではない。 以前、カラオケ屋さんで働いていたので、ドリンクやフードを部屋まで運ぶ時に、色んな人の…
先日の初食事は、見事なまでに手応えもなく、唯一分かった事は、『極度の遠慮しい』という事だけであった。 ごはんを一緒に食べに行ったのであれば、次は当然カラオケである。 当時は今よりもかなりのカラオケブームであり、とりあえずカラオケ行っとく?み…
近くに住んでいるのに、特に会うこともなく、電話で話してばかりだった僕は、有美を食事に誘う事にした。 もうこの時点で結構仲良くなっていたので、すんなりと了承。 ただ、小学2年生の弟も連れてくる、というオマケ付きだ。 当然、弟に会うのは初めてで、…