【青春爆走編16】フォーメーションチェンジ!
要は、Kちゃんとタツヤが仲良くなれればいいわけだ。
2人で喋る状況を作り出せばいいのだ。
そして僕は行動に出た。
端っこに座っていた僕は、席を立ち、反対側の端っこに座っていたKちゃんの友達の隣に座った。
オーソドックス型から一瞬で、まさかのサンドイッチ型へフォーメーションチェンジである。
僕がこっちで友達と喋っておけば、Kちゃんもタツヤと喋りやすい。
Kちゃんもこの状況を望んでいたに違いない。
とりあえず僕は、出身中学校の話や、部活してたか、とか話をいろいろと振ってみたりしていた。
まあ、それなりに話もしてくれて、良くも悪くも普通だった。やっぱり。
ここまで頑張ってんやから、ちゃんと喋れよ、タツヤ!
と思いながらタツヤの方を見ると、まだ2人とも無言で、口半開きのおじいさんを見ている。
おもわずタメ息がでそうになったが、だいたい想像の範囲内だ。
そうこうしている内に、電車は目的地の駅に着いた。
そのアイススケート場は駅のすぐ裏手にあるので、駅を出たらすぐに入口が見えてくる。
相変わらず、タツヤとKちゃんはあまり会話がない。
タツヤは僕にばかり話し掛けてくる。
いっつも嫌っていう程話してるやないか!
ひょっとして俺に気がある?
とホモ疑惑まで頭に浮かんでくる。
ちょっと古いスケート場だったが、お客さんもそこそこいそうな感じで、程よく賑わっていた。
僕の分のスケート代はタツヤが支払ってくれて、4人はスケート場の中に入った。