【青春爆走編02】クリスマスなのに!
1993年12月24日 クリスマス・イブ
バイトが休みだった僕は、ヒロシの家にいた。
ヒロシの部屋のステレオからは、ポール・マッカートニーのワンダフル・クリスマスタイムが流れている。
高校生になって初めてのクリスマス。
女っ気は全くない。
僕はタバコをふかしながら、暇そうにポールと一緒に口ずさんでいた。
「なあ、ヒロシ。今日クリスマスやで? 野郎2人とかヤバない?」
「俺、明日、おんなじクラスの女の子来るから、家くんなよ。」
「マジで?初耳やねんけど!誰よ?付き合ってん?」
「あれ?タクにゆうてなかったっけ。付き合ってないけど、電話とか結構してる子。」
「まあ、どうせ明日バイトやからいいけどな。」
僕はとてつもなく裏切られた気分になり、マンガをパラパラとめくっていた。
コンッ! コンッ!
その時、外から舌打ちを鳴らす音が聞こえてきた。