どうしようもないクズ男の半生記

今年で40歳になり、人生を折り返そうとしているクズ男の半生記です。

【青春爆走編11】微妙に痛いんやけど!

ショウジが彼女にフラれたクリスマスより少し前、もう2学期も終わろうとしていた頃。

 

僕とマコは僕の部屋にいた。

 

「準備出来たで、マコ。」

 

「痛いんちゃん?いけるかな?」

 

「いけるやろ?一瞬ちゃうか?」

 

目の前には、安全ピン、オキシドール、氷、ライター、そしてピアスが並べられている。

 

当時はピアッサーというものが無く(あったのかもしれないが田舎には流通していない)ピアスを開けると言えば安全ピン、が主流だった。

 

自分で開けると穴が斜めに開いたりして、ずれたりするらしいので、マコとお互い開けあいする事にした。

 

まずは僕の耳から開ける事に。

 

耳たぶを氷で冷やす。これでもかっていう程冷やす。

その間にマコは安全ピンをライターで加熱処理。そしてそれをオキシドールで消毒する。

 

「よっしゃ、消毒終わったで。」

 

「冷やしすぎて耳痛いんやけど。一気にブスッと行って!」

 

マコは安全ピンを持って、僕の耳に針の先を突き刺した。

 

「どう?痛い?」

 

「いや、全然。余裕やな。」

 

針が刺さって行き、耳たぶの後ろ側の皮まできたとき、針が止まる。

 

「最後の皮、めっちゃ固いんやけど。」

 

「全然痛ないから、思いっきりいってもいけんで。」

 

「おっけ、思いっきりいくわ。」

 

そう言ってマコは力を入れて針を押し込んだ。

 

何とも例えようのない、プチッ、かパチッという音がして安全ピンが僕の耳たぶを貫通した。

 

「最後のんだけ、何か微妙に痛かったんやけど!」

 

「お前、耳たぶ分厚過ぎんねん!」

 

ここで攻守交代である。

 

マコが耳たぶを冷やしている内に、次の安全ピンを耳に安全ピンが刺さったまんまの男が用意する。

 

「マコ、耳たぶちっちゃいから簡単に開きそうやな。」

 

「ほんまかよ?痛くすんなよ!」

 

「痛くせえへんよ、血でたらごめんな。先謝っとくわ。」

 

会話だけ聞いてると完全にホモのエロシーンだ。

 

予想どおり、マコの耳は簡単に開ける事が出来た。

 

しかし2人にはある不安が。

ピアスの穴から白い糸が出てきて、それを引っ張ったら一瞬で失明する。

という有名なあの噂。

完全な都市伝説だとわかるのは、あと何年も先だった。

 

「なあマコ、穴から白い糸出てきても絶対引っ張ったらあかんで。」

 

「おう、タクも引っ張んなよ。」

 

完全に噂を信じ込んでいた2人だった。