【出逢い編12】声がききたい
帰りの電車の中で考えてみた。
なぜ、俺は今日こんなにテンション上がらないのか?
残飯処理班のせい?
藤川さんが来たから?
いや違う、藤川さんは悪くないし、僕を隊長に任命したよっしーやさーくんも悪くない。
いつもの調子なら、僕もそれに乗っかって楽しんでいたはずだ。
きゃぴきゃぴ喋ってた子達も、別におかしな事を喋ってた訳でもないし、空気が読めない子、っていう訳でもなかった。
電車を降りて、家までの帰り道。
僕は無意識にゆみに電話をかけていた。
家で『週末婚』というドラマを観ていたらしい。
声を聞いた瞬間、謎がすべて解けた。
ああ、俺はゆみの事好きなんや。
だから他の女の子と話しててもなんか違うんや。
スッキリすると、積極的になるもので、会話も弾み、家に着いても電話は続き、気がつけば2時間近く、話をしていた。
ある意味、この日の合コンは僕に気持ちを気付かせてくれた恩人だった。
そしてこの日を境に2人の距離がぐっと縮まる事になる。