【青春爆走編14】スベるのはスケートだけでいい!
いよいよ1993年も残り3日となった日の事。
この日はタツヤと出掛ける事になっていた。
なんとタツヤが高校の友達とアイススケートに行く、そしてその子が友達を連れてくるからこっちも2人で行く、という訳だ。
もちろん、相手は女の子である。
僕とタツヤは同じ高校で、男子の数が圧倒的に少ない。女子は男子の4倍くらいいる。という学校だ。
周りにそれを言うと、女の子多いからええなぁ、とかよく言われるが、決してそんな事はない。
女の子の数と楽しい学園生活は必ずしも比例しないのである。
そして、これは僕らの中での7不思議の1つなのだが、なぜ、タツヤが学校の女子から人気があるのか?という事。
背が高いからか?無口であまり喋らないからクールにみえているのか?
普段のタツヤを知っている僕らからしたら不思議でしょうがない。
で、おそらくだが、その女の子はタツヤと2人でスケートに行きたかったんだと思われる。
で、タツヤは誰か友達連れておいでよ、こっちも連れていくから、みたいなやり取りをしたに違いない。
そうでもないと、タツヤから女の子がらみの誘いなんか、まずありえない。
2人で行ったらいいのに。と思いながらもスケート代をおごってくれるというのにつられて僕も行く事に。
しかも、この寒いのにアイススケートって!
タツヤを誘った女の子は同じ高校なので話した事はないが知っている。
問題はその子がどんな友達を連れてくるのか?
ノリの悪い子だったら、かなりさむい事になりそうだ。
タツヤは無口なんかじゃなく、口下手なのだ。ほとんど喋らない。
そうなると、空気を読む僕としては何とか喋ろうとする。
そこでノリの悪い子だったら、僕が1人でスベっている状態になること間違いなし!
スベるのはスケートだけであってほしい、と願いながら、タツヤと待ち合わせの駅へ向かった。