【青春爆走編04】持つべきものは友?
ショウジが続きを話し出すのを、僕とヒロシは必死に笑いをこらえながら聞いた。
「で、何で別れたいんか聞いたんやんか。そしたら他に好きな子できた。って。」
フラれる理由の中でもトップクラスにダメージの大きいフラれ方だ。
ショウジが続けて話し始めた。
「なんか、友達の彼氏の友達で、その友達も一緒に4人で遊びに1回だけ行ったらしいねんな。その時に電話番号交換したら、めっちゃ電話かかってきたんやって。」
あまりにも可哀想すぎて、さっきまであんなに笑いをこらえるのに必死だったのに、僕も段々悲しくなってきた。
更にショウジが続ける。
「で、彼氏おる。ってゆってたんやけど、しょっちゅう電話してきて、好きになったんやって。」
その子がその男に、本当に彼氏おる。って言っていたのかどうかは怪しいとこだが、その彼女も同じ町内に住んでいる子で、昔から知っている子なので、そこは信じたい。
黙って聞いていたヒロシが尋ねる。
「相手の男、誰か聞けへんかったん?」
「聞いたよ。一応。」
それを聞いた僕は、その時ばかりはショウジやるな~!と感心した。
フラれたその時に、相手の男の事を聞くなんて、メンタルが強いのか弱いのか。
僕がその状況になっても絶対に聞けないだろう。
「で、どこの奴よ?」
ヒロシのテンションが上がる上がる。
「〇〇中の山本っていう奴。」
「高校は?どこ行ってん?」
「いや、そこまで聞いてない。」
「〇〇中やったら友達おるで。聞いてみよか?」
そう言うとヒロシは電話を取り、掛け始めた。
多分、同じクラスの〇〇中に行ってた友達に聞いてるのだろう。
その様子を僕とショウジは黙って見ていた。
電話が終わり、ヒロシが興奮気味に言った。
「わかったぞ!下の名前も分かったし、電話番号も分かった。」
さすがヒロシ。仕事が早い。
「で?電話番号も分かったし、どうするショウジ?シバく?」
ショウジは目が点になった。