【出逢い編10】ゴミ溜めみたいなとこなんで
帰宅ラッシュの中、2人は好きな芸能人の話や、好きな音楽の話で盛り上がっていた。
家の場所的には、彼女の降りる駅は僕が降りる駅の1つ向こう側なので、僕が降りる駅でとりあえず2人とも降りて、車で彼女の家まで送っていくことになった。
住んでいたマンションの駐車場に着いて、車のエンジンをかける。
普通なら、
年頃の男子なら、
下心があるのなら、
あわよくばという気持ちが少しでもあるのであれば、
「家、寄ってく?」
となるのだが、そんな軽い男に見られるのも嫌で、どちらかというと、もっと話をしたい気持ちの方が強かった。
「ほんまやったら、寄ってく?っていいたいとこやねんけど、今、ゴミ溜めみたいな状態やからまた今度ね。」
この時の自制心、自分で自分を褒めてあげたい。
これは後日談だが、この時、家に誘わなかった事で僕の事を見る目も変わったらしい。
といっても、それだけで警戒心が無くなる訳でもなく、家まで送るつもりが、家の場所を知られたくないのか、駅前で降りていった。
結局この日は、ただ一緒に帰ってきて、話をしただけだったが僕としては大満足な1日だった。